会社で働く人にとって、昇進するとなれば、基本的には喜ばしいことだと思います。自分の仕事ぶりが認められ、給与もアップするでしょうし、任される仕事も責任のある内容になってきます。
筆者も、育児休暇から復職したあと、上司との面談で管理職の打診がありました。たしかに嬉しかったのと、当時は育休明けでとにかく仕事がしたかったので、気軽な気持ちで引き受けました。
今回は、ワーママが管理職の業務と家庭をどう両立させたか……ではなく、残念ながら両立できなかった苦い経験と、その経験を踏まえて、管理職になりたいワーママが考慮すべきことをお伝えします。
- 管理職になりたい
- 管理職の打診を受けていて迷っている
- 管理職になったワーママの体験談を知りたい
私が管理職になった理由
筆者が、なぜ管理職の打診を引き受けたかというと、冒頭でも話したように、育休明けでとにかく仕事がしたかったからです。
育児休暇は1年とりましたが、日中はずっとワンオペで子どもの面倒を見ており、ずっと引きこもってあまり外出もしませんでした。
来る日も来る日も赤ちゃんのお世話に明け暮れ、スキマ時間に海外ドラマを見るのが唯一の楽しみな毎日だったので、職場復帰したときは、新鮮な気持ちになり、仕事するのが楽しかったです。
そんなときに管理職の打診があったので、やる気に満ち溢れた状態ですぐにOKしました。
私が管理職をおりた理由
復職するときに、時短勤務と、残業ができないことを条件としており、ありがたいことに管理職になっても、その条件のまま働くことができました。
こういうと、順風満帆で管理職に昇進したように見えますが、結果的には、以下のような理由でストレスを抱えてしまい、管理職を続けることができなかったです。
- 管理職なのに時短で帰りづらい
- 休みでも仕事のことが離れない
- 仕事のプレッシャーで体調が悪化
- 育児がうまくいかない時期と重なった
- 夫との関係がギスギスした
管理職なのに時短で帰りづらい
部下からの相談事や、トラブルがあった場合に、定時で帰りづらいです。
それでもお迎えの時間があるので、定時をオーバーしつつ、どうにかして帰るのですが、罪悪感がありました。
周りが嫌味をいってくるとか、そういったことは一切なかったのですが、自分自身が、管理職なのに現場を放って帰る、ということに負い目を感じてしまっていました。
休みでも仕事のことが離れない
保育園に入りたてだと、子どもが体調を崩しやすく、どうしても看病のためにお休みすることが増えてきます。
周りは理解を示してくれていたのですが、休むことにも罪悪感がありました。
また、自分が休んでいても現場は動いているため、熱がある子どもの横で仕事したこともあります。
とにかく、管理職たるもの、責任を全うしなければと、思い詰めていました。
仕事のプレッシャーで体調が悪化
管理職になると、部門の売上や部下のマネジメントなど、業務内容の責任が増します。
自分自身が管理職という仕事に慣れていない状態でもあったので、ノウハウもないなりにやっていたのですが、ストレスで体調を崩しました。
また、あるとき歯痛で歯医者にいったら、なんの問題もなく、無意識に奥歯を強く噛み締めていたのが原因でした。このことで、自分のストレスを自覚しました。
育児がうまくいかない時期と重なった
管理職になった時期、子どもはちょうど2歳で、いま思うと「イヤイヤ期」だった気がします。
とくにしんどかったのが、保育園に迎えにいくと、ずっとグズグズして保育園からなかなか出発できなかったことです。やっと出発できたとしても、繋いでいた手をすぐにふりほどいてフラフラするので、仕事が終わっても気を張り詰めっぱなしでした。
あちこち寄り道しながら、どうにか家に連れて帰ってきた頃には、大人で徒歩15分の距離に対して、1時間もかかっていた、なんてことは茶飯事でした。
夫との関係がギスギスした
仕事のストレス、育児のうまくいかなさで、自分でも気が付かないうちにメンタルが不安定になっていました。
また、たまに夫が子どもを迎えにいくと、子どもはすんなり帰るらしく、筆者が連れて帰るときの苦労をまったく共感してもらえませんでした。
そのほかにも、もろもろの鬱憤が溜まっていたのもあり、夫に八つ当たりしてしまっていました。そして、そこから夫婦関係が悪化しました。
管理職になりたいワーママが考慮すべきこと
筆者の体験を踏まえ、ワーママが管理職になるにあたって考慮すべき点を紹介します。
これから管理職になるかどうかは、これらのポイントをどれだけクリアしているか検討してから決めると、失敗するリスクを減らせます。
- 管理職でも時短勤務できる会社かどうか
- 管理職のメンター制度や研修が会社にあるかどうか
- 子どもの状況が落ち着いているかどうか
- 夫の理解と協力が得られるかどうか
- 管理職が本当に自分のやりたいことかどうか
管理職でも時短勤務できるかどうか
大前提として、勤めている会社が、管理職=フルタイムで長時間労働が当たり前という価値観が根付いている場合、ワーママが管理職になるのは大変厳しいです。
時短勤務ができるかどうか、あるいはフルタイムでも残業NGなどの条件を受け入れてもらえるかどうか、会社の制度をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
あるいは、制度が整っていなくても、交渉できる可能性もあります。
管理職のメンター制度や研修があるかどうか
これから管理職になるのであれば、悩みを相談できる上司や、会社にメンター制度があれば心強いです。
また、新人管理職に向けた社内研修など、管理職同士が横のつながりを持てるような取り組みや、すでにベテランのワーママ管理職がいれば理想的です。
はじめて管理職になる場合、慣れないうちはストレスが大きいと思います。
管理職としてのあり方や、ワーママならではの悩みなど、仕事に関して相談できる相手がいるかどうかは、管理職を続けるうえで重要なポイントです。
子どもの状況が落ち着いているかどうか
保育園に入園しておおむね1年間は、子どもが体調を崩しやすく、看病のために仕事を休む日が増えがちです。
また、子どもの性格にもよりますが、イヤイヤ期など子育ての負担が増す時期に管理職になるのは、個人的におすすめしません。
子どもの体調や成長の度合いが落ち着いた頃であれば、心に余裕をもった状態で管理職の業務に臨めます。
夫の理解と協力が得られるかどうか
どんなに会社の制度が整っていたとしても、ワーママが管理職をやっていくなら、多少なりともハードワークが予想されるので、やはり夫の理解と協力は不可欠だと思います。
家事や育児の分担はもちろんですが、共感してもらえることや、話をきいてもらえるだけでもありがたいです。
夫に、そういった理解や協力が得られそうもない場合、夫婦関係が悪化する可能性があります。
管理職を打診されたことを、あらかじめ夫に相談してみて、反応を見てみるのもよいでしょう。
管理職が本当に自分のやりたいことかどうか
漠然と、キャリアアップ=管理職に昇進するというイメージになってはいないでしょうか。
管理職を打診されるのは、自分の仕事ぶりが認められたということなので、嬉しくて当然ですよね。
しかし、管理職という仕事が、本当に自分のやりたいことなのかどうかは、あらためてよく考えてみる必要があります。
管理職のおもな役割であるマネジメント業務が自分に合っていなかった場合、思うように仕事の成果を出せなかったり、挫折してしまう可能性があります。
キャリアアップの方法はひとつではありません。
特定の分野を極めたスペシャリスト(専門職)を目指すという選択肢もあることを、覚えておきましょう。
まとめ
筆者の体験と、管理職になりたいワーママが考慮すべきことを紹介しました。
ワーママが管理職になるには、会社の環境によるところも大きいのですが、目標があれば、ぜひチャレンジしてみてほしいと思います。
管理職の経験そのものは無駄にはなりませんし、筆者も仕事における視野が広がった実感があります。
子どもはいずれ成長しますし、いま勤めている会社の条件が合わなければ、転職するという手段もあります。
筆者は、1年つとめた管理職をおりて、いまは違う部署で自分の得意分野を生かせる職種に就いていますが、結果的には満足しています。
子どもがいるから無理、ではなく、どうすれば働けるかを検討したうえで、自分らしい働き方を見つけられるといいですね。